この物語はフィクションですが、この戦争はノンフィクションです のバックアップ(No.6)


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たまにはこういう戦史もいいと思うんだ。
あと当事者さんは直に連絡くらはい。こう書いて欲しいとかあったらなるたけ意向に近い形で頑張りますんで。
なお、文章中の確定事実、重要事項、ターン数を主に太字としております。

参戦国

参戦国一覧

宣戦布告側被宣戦布告側
軍艦島
自由貿易島


参戦国データ(T4212の開戦直後の状態)

島名順位人口食料レート面積農場規模工場規模移籍Pt有効JP総獲得経験値
軍艦島52,257,300人8億円/10000t8,000万坪1,400,000人1,200,000人3,091Pt40Pt344(Lv.8)
自由貿易島301,291,800人8億円/10000t7,900万坪1,600,000人保有せず1,964Pt44Pt336(Lv.8)
361,066,400人7億円/10000t7,300万坪1,150,000人保有せず2,627Pt153Pt555(Lv.9)


人口だけ見れば、軍艦島が圧倒的である。
だが総獲得経験値や、海軍の経験値、そして勲章の数などを見れば、は歴戦を戦い抜いてきたことが分かる。
単純に優劣はつけがたいが、の海軍力は相当であることは疑いない。
軍艦島自由貿易島がいかに切り崩すか、またがいかに反撃に転じるか、というのがこの戦争の焦点となるだろう。


序章(プロローグ)

T4206

軍艦島 皇宮

 ターンも既に4200を過ぎ、ターン杯の存在をすっかり忘れていた軍艦島の長、『える』こと
第二十五代薫義皇(くるよしおう/くんぎおう)は、ぼーっとしながら虚空を見つめていた。
彼と、彼の治める軍艦島は、B海域に移籍してからというもの、船の乗組員の経験値を溜める為に
ひたすら友好的な状況での、採掘基地や定置網を破壊する稼業を請け負ってきた。
お陰で経験値は稼げたものの、生来の一大事業である『戦争』を全く体験しないまま、
次の定期移籍を迎えようとしていたのである…現状で移籍ポイントを確認すると
軍艦島3,091Pt(4212T現在)あり、B海域では第4位。このままでは移籍は確実である。
 勿論このまま平和裏に移籍を迎えても何の問題も無いであろう。だがいかんせん、味気無い。
もっとはっきり言おう。これは粋ではない。野暮である。ロクに戦争もせず、漫然と過ごした
無為にも等しい日々を過ごした我が軍艦島が上位移籍などもってのほかである!
ここはなんとしてでも、戦争の一つでも起こして、そしてその戦争に勝利し、凱旋の途に着きながら
華々しく上位移籍を迎えようではないか!!
…とえるは、かねてからそう思っていた。そして諜報部に、幾つか目標となる島を調べさせるように
命令してはみたものの…もはや一週間が過ぎようとしていた。大きく溜息を吐きながら、ぼそりと呟く。
「あー腹減った~…」
 すると傍らにいる、細身ながらがっしりとした筋肉質であり、見事な白髪をきっちり切り揃えて
威風堂々と佇んでいる老齢豊かな人物が、すかさず言葉を加える。
「殿、先ほど夕餉を食べたばかりではござりませぬか!」
「タフ爺うっせぇ。腹減ったって言ったら腹減ったんだよ!」
「丼三杯食べてまだ足りんとは…殿の成長期はいったいいつ終わるのでござりましょうかねぇ?」
「俺の心が若いうちは、一生成長期だっての」
「……さっさと大人になってくだされ」
 タフ爺こと田布新左衛門(たふ しんざえもん)は身の丈八尺を超える大男で、これまでにも
数々の戦場にて戦功を挙げ、要職を歴任してきたこの国になくてはならない人物の一人である。
現在は老齢により一線から引いているものの、皇の傍で日々献策する…というよりも、日々皇の
やんちゃぶりを諫めるお役目である。今皇えるのやんちゃぶりには皆もたじたじであり、彼のような
実力行使で止められるような人材を御傍衆は必要としていたのである。事実彼は、喜寿を
既に迎えているにも関わらず、体脂肪率は一桁、未だに筋肉は衰えず、身体測定は常に
全軍ベスト3に入るほどの腕っ節の良さで、見た目、肉体、そして名前と三拍子揃ったあだ名が『タフ爺』である。
規律には厳しいものの、面倒見の良さもあり、このあだ名で部下には大いに慕われている。
タフ爺は今皇の相変わらずの破天荒ぶりに、ほとほと呆れている様子であった。
だがしかし今皇えるの才覚を鍛え、磨き上げるのもタフ爺の仕事である。ここは一つ、見守るべきか…
「殿、諜報部からの資料が届きました」
「お、やっと来たか!どれ、早く見せろ」
「はっ」
えるは資料を運んできた部下から瞬時に茶封筒を受け取り、黙々と読み始めた。
タフ爺も広げた資料の中から、幾つか手にとって目を通す。
「お、この島など良さそうではありませぬか、人口の割に軍備も貧弱で、レートを見るに資金力も恐るるに…」
などと言っていると、えるはポツリと呟いた。
「…俺、魚が食いてぇ」
「は?今何と?」
「俺は魚が食いてぇんだよ!」
「ですから夕餉は既に」
「これを見ろ!」
えるは、手元に持っていた資料の一つをタフ爺に押し付けた。
「ふむふむ…『』、B海域36位、人口約100万、経験値レベル9、主な艦艇は空母2潜水艦7…これはまた随分と偏った
艦隊編成ですな…島形は中央特殊型、軍港10、そのうち120軍港5。軍港からの航空機と潜水艦を押さえれば勝機有り、と」
「しかもこの島は、先日あった、我が盟友の蜘蛛乃島Θ硫黄島との戦争にちょっかい出してきやがった島だ、気にいらねぇ」
「…凄く個人的理由のが重そうな気がするのは儂だけですかいの」
「こまけぇこたぁいいんだよ!!とにかく俺は、このを食いに行くぜ!」
 資料を見ながら、タフ爺はぐぬぬと唸っていた。今皇もなかなかどうしてやるではないか。
タフ爺はすっと身をただし、瞬時にして戦場(いくさば)の漢(おとこ)の目をギラギラとさせながら言った。
「では、それ相応の準備をせねばなりませぬの」
「大丈夫、既に考えがある」


同T ¢魚 『カジキⅢ世』號 ブリッジ内

 は、海域全体を見渡してみても、極めて特殊な艦隊編成をしていた。
昨今の流行りは主に戦艦、大和級や金剛級を抱えつつ、霞級駆逐艦を幾つか侍らせる、という形が一般的であるが
の艦隊には、戦艦など一隻も存在しない。駆逐艦こそ零ではないが、対潜型を一隻備えるのみである。
そう、この島の海軍は、殆ど全てが潜水艦によって成り立っているのであった…
潜水艦艦隊の旗艦である『カジキⅢ世』號に乗り込み、艦長席に凛と座っているこの男こそが、の海軍長官であり、
の実質的なリーダーを兼ねているryoであった。
「長官、軍艦島からこのような通信が届きました」
部下が早速、軍艦島から送られた通信をryoに見せた。
「なになに…

ターン4206:える > 宣戦布告します。人口と経験値が目的です。というわけで、以後宜しくお願い致します。 (軍艦島)

だとぉ…全く、ナメやがって!」
ryoは通信の書かれた用紙をくしゃくしゃに丸めて投げ捨てた。そして座っていた椅子からやおら立ち上がった。
「我が軍が今までどれだけ勲章を手に入れ、どれだけ艦隊を沈め、そしてどれだけの島を深海に葬ってきたか知らないようだな…
よかろう、潜水艦と空母の恐ろしさ、とくと見るがいい…経験値の差は、簡単には埋まらんよ…」
ryoは不敵な笑みを浮かべ、高々と拳を上げて、叫ぶ。
「皆の者!次の獲物が決まったぁ!軍艦島えるだ!彼奴を我が潜水艦の魚雷で木っ端微塵にしてくれようぞ!」
「魚ぉおおおおおおおおおおおお!!!」
彼らの雄たけびは、潜水艦に所狭しと響き渡った。ソナー探査官がたまらず、ヘッドホンを投げ捨てて叫んだ。
「長官!叫びたいのは分かりますけど頼むからオカでやって貰えませんか!?これじゃあ私は仕事になりませんよ!!」
そこに新たに、部下がブリッジへと駆け込んできた。
「長官!大変です!!」
「おいおい、今日は騒々しい日だな…まあ、我々の掛け声より騒々しいものなど存在せんだろうがな」
自分で言った言葉に自分で笑いつつも、部下から受け取った用紙に目を通すryoの顔色は、見る間に変わっていった。
「なん……だと……?」


同T 自由貿易島 『ワルキューレの使徒』 第3艦橋

 貿易島島主は、悦な表情をしながら、ゆったりと椅子にもたれかかっていた。
「どうだい?奴は今頃、大慌てじゃないかな?」
「ええ、まさしく『してやったり』といったところではないでしょうか」
彼はまた、自分の送った文章を見ていた。

ターン4209:貿易島島主 > 人口を主目的に攻めさてもらいます。大和の維持がきついので人口がないとつらいのです・・・・ (自由貿易島)

「ウチは『自由貿易島』って名前の通り、『自由』に『貿易』を楽しむ島さ。でもだからって、自由に戦争しちゃいけない
はずはないだろ?それを僕は実践しているだけさ」
自由貿易島は、軍艦島と共に先日の臨時移籍によってC海域からB海域へと上位移籍してきた。
だが正確に言えば、彼の古巣はB海域であり、念願叶って復帰、と表現した方が意に適っている。
そして彼も軍艦島同様、静かに時を過ごしていた…だがその間にも、彼の島は着々と軍備を拡張していた。
その甲斐あって完成したのが、この大和級巨大戦艦『ワルキューレの使徒』である。実に雄大で、貿易島島主はこの
第3艦橋から見下ろす景色をことのほか気に入っていた。だがこの『ワルキューレの使徒』は想像以上の金食い虫で、
実に多くの維持費を食いつぶしている。このままでは島が立ち行かなくなってしまう…
こうなった際の手段はただ一つ、戦争によって生じる他の島からの移民を獲得して、生産力を増大させることである。
「そんな折にだよ、今まで色々と『貿易』してきた軍艦島からの極秘通信が入ったとくれば、僕としては二つ返事だよね。」
「さて…他の人たちはどう出るかねぇ?」
くゆりくゆりと、手の中で握った銀貨を弄びながら、彼はこれから始まる戦いに向けて、思いを募らせていた。


こうしてまた…戦が始まる。


T4207

軍艦島 皇宮

「そういえばどうだ、例の件は?」
「はっ、既に」
軍艦島えるは、今回の戦争を行うにあたり、の海域の(0,1)にある民間軍港を購入して、
戦争への橋頭堡とする狙いがあった。
そしてこれはT4206に現実のものとなり、既に軍艦島の所有となっている。
「よし、じゃあ早速スパイダーを2隻建造しろ。そして南下させてじりじりと制海権を奪ってやれ」
「ははっ!」
海域に軍港を作り、そこから艦艇を指定移動を使って送り込み、またスパイダーで軍港を建設して支配地域を広げる。
これはかつて軍艦島が、C海域でÅう~いぇい!に対して行った戦法に類似するものである。
だが実際に軍港を作ることは効果的であり、敵地での補給や退路を確保するためにも極めて重要であると言えよう。
「さて…第一段階は成功だ。次は第二段階だ、皆、心してかかれ!」
「ははぁっ!!」


開幕

T4212 深夜

¢魚 『カジキⅢ世』號 ブリッジ内

「島内全域、第一種警戒態勢に入りました。シュミットやフェニックスによる、航空機の巡回の手筈も既に整っております!」
部下の言葉を聞いて、ryoはゆっくりと頷いて言った。
「よし、下がれ」
「はっ」
ryoはどっかと腰を下ろして、艦内に広げた島の地図を見渡す。
「さて、戦闘開始のターンは確かT4212だったな。敵軍は相変わらず姿を見せないようだが…まあいい。
もっともこれでこの島の守りは完璧だがな。さぁ、どっからでもかかってくるがいい!夜間こそ、我ら潜水艦乗りの本分。
俺らに鳥目なんて言葉は似合わんよ、皆の者、そうであろう!?」
「魚ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
…相変わらずであった。


T4213 早朝

軍艦島 皇宮 廊下

「うーん、やっぱし戦争直前ってピリピリするねぇ」
「いやもう始まってますから!寝ぼけんで下され」
「朝っぱらから小言かよ…勘弁してくれって。こちとら眠いんだから」
「そう言いつつ徹夜でゲームをしていたのはどこのどいつでござんしょーね」
「おいおい、作戦立ててたんだってば」
「ほぅ…作戦ねぇ…」
そう言いながら、タフ爺はえるをも疑わしそうに見つめる。
えるは逃げるように今いる場を後にしつつ、部下に告げた。
「それで、敵さんの状況はどうなってる?」
「はっ、フェニックス3機、シュミット3機、ホーク1機が警戒しております。」
「よっし''ゃ、ありったけの航空機を送ってやれ。編成はシュミット多めにな。
おっと、(0,1)に購入した軍港も最大限有効に使わんと。あそこは我らの橋頭堡だからな。失うわけにはいくまいて」
「はっ!畏まりました!!」
こうして軍艦島は、シュミット10機、フォートレス6機、また艦艇指定移動によって対潜型霞級を1隻に送り込む。
「よし、各機の出現位置は!?」
「はっ、いい感じにばらけておりますが…フォートレスは陸地付近に2機ほど出現しました!」
「よっしゃ!首尾は上々っと。後はゆっくり待ちますかねー」
と言って立ち上がり、どこかへ行こうとした。
「殿!どちらへおいでで!?」
「朝飯に決まってんだろ?腹減ってしょーがねーよー」
「お待ち下され!以後の指揮はどうなされるおつもりで!?」
「大丈夫ー、既にデータは送信済みだから問題ねーよ。それより食ったら一眠りだぜー」
「殿ぉおおおおおおおおおお!!!」
…この島も相変わらずである。



T4216 夕暮

軍艦島 皇宮

「いやー、今日の晩飯も旨いねー!おかわり!」
「殿!いつまで食べられておるのですか!?そんなことより戦況を」
「分かってるって。ほら、そこに広げてあるだろ。」
そう言ってえるは膳の前にある地図を箸で指した。
「やめなされ!行儀が悪いですぞ!!」すかさずタフ爺に手を叩かれる。「ってーっ、くっそぅ…タフ爺のくせに」
「とりあえず、食事か会議かどちらかにして貰えませんかね?」タフ爺のたしなめにも関わらず、
「何言ってんだって。欲張らないと戦争には勝てないだろ!?というわけで会議を始める!」
そう言ってえるは言った。箸と丼を持ちながら。
「よし、今朝の航空戦はどうなった?」
「はっ、我が軍艦島がこれまでに敵軍に派遣したのは総勢22、内訳ですが
シュミット12、フォートレス6、対潜型霞級2、日向級空母1、金剛級戦艦1、です!
これには敵領内の軍港から出撃したシュミットが1機含まれております。
 そして戦果は6、こちらはシュミット2、ホーク1、フェニックス2、そして潜水艦1
 被撃墜数は11、シュミット8 フォートレス3、となっております。
 なお、対潜型霞級、空母、金剛は全て、敵陣にて目下交戦中とのことです」
「よかろう。下がってよし」「はっ!」
「うーん…随分と送った割に、余り大きな戦果を得られてはいないようですな」
タフ爺が渋い顔をしながら告げる。
「まあその割に、経験値の方は若干稼いだからな。そんだけ経験値レートがいい感じなんだよ」
えるは楽観的である。
「しかしこのままでは、いずれ押し込まれてしまいますぞ」
「おいタフ爺、やっこさんの島を良く見てみろよ。既に軍港を一つ押さえてあるんだ。あそこからじりじりと敵の島を食い破ってやるさ」
「まあ…そう上手くいけばよいのですが…」
「それに関しては、彼にも協力して貰わんとな」


同T ¢魚 『カジキⅢ世』號 ブリッジ内

「よし、皆の者準備はいいか!?」
「はっ、全て順調であります!」
ryoは自分自身で確認をするように呟く。
T4213に漁礁が枯れたのには肝を冷やしたが、新たな漁礁の出現場所は(7,13)と、これまた綺麗に我がペンタゴン湾内。
海神ポセイドンは、まさしく我らに勝利を導かんとする僥倖よ!今こそ討って出る時!敵島に攻めあがるのだぁあああ!!」
「魚ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
船員達の怒号は留まるところを知らない。
「長官!移動完了しました!」
「よし、移動先のポイントを割り出せ」「はっ!」
「全く…単調な航空機のばら撒き攻撃なんぞよりも、こうして敵の裏を欠くことこそ肝要よ…」
不敵な笑みを浮かべるryo。だがそれもつかの間、艦が轟音と共に揺れる。
「うわぁあああああ!!」
「どうした!?何が起こっている!?さっさと状況を報告せんか!!」ryoは叫んだ。
「報告します!我が艦の出現ポイントは軍艦島(13,16)、既に敵の対潜型霞級に捕捉されております!
敵方9時の方向!!距離3hex!!
「3hexだと!?こちらの射程範囲外ではないか!?急いで敵射程内から脱出・・・
また艦に轟音が響き渡った。「今度は何だ!?まさか、敵がこのタイミングで反復攻撃などしてきたのでは」
「長官大変です!12時の方向にも対潜型霞級が!!
「そんな馬鹿な…奴は我々の行動を読んでいたというのか…!?」
思わず力が抜ける。だがすぐにryoは立ち上がって部下に命令を発した。
「くそおおおっ!なんとしてもこの海域から離れろ!旗艦がこうもあっさりとやられては示しがつかん!!
全軍退却!!退却だぁあああああ!!!」
流石の経験値MAXの潜水艦『カジキⅢ世』號も、対潜型霞級2隻の前では無力であった…


T4217 夜半

自由貿易島 『ワルキューレの使徒』 第3艦橋

「将軍!航空機の配備、全て完了致しました!」部下が直立不動の体勢で叫ぶ。
「ん~、じゃあさっさとに派遣しちゃおうか。維持費が勿体無いしね。
 それにしても『将軍』って言われるのはどうにも慣れないなぁ…」
貿易島島主は、首筋のあたりをこりこりと掻く。
「まあ、こうやってじりじりと追い詰めていけば、も自分の立場を理解せざるを得ないだろうね」
そうして彼は、艦橋の遥か向こうに見える水平線の、どこか遠くの方を見つめながら、早くも今後のことを考えていた。
「将軍、報告致します」
その思索を、部下の伝令が遮る。貿易島島主は彼を少し睨むが、すぐにいつもの温厚な表情に戻し、告げる。
「聞こうか」
「はっ、に、貿易島対獣部隊が派遣されました」
貿易島対獣部隊とは、主にカメレオン対獣艇などで編成された、まさしく怪獣退治を専門に扱う艦隊である。戦争とは無縁の部隊だ。
貿易島島主はこの事態に対し、部下に声色一つ変えずに返答した。だが彼の目の奥が一瞬変化したのを部達は見逃さなかった。
「ん~、どういうことだい?確か僕は空挺部隊を送るように言ったはずだけど」
「はっ…原因は目下の所調査中でありますが…はっきりとは分かりませぬが、指示に齟齬があったものかと…」
「ふーん…諏訪中君?」
「はぃいっ!」突然呼ばれた諏訪中(すわなか)少将は、思わず声が裏返ってしまった。
「確か通信系の管轄ってキミだったよねぇ?」
言葉は温厚そのものであるが、声質がまるで違う。舞い落ちる木の葉を真っ二つにする刀のように鋭い。
「はっ、っで、ですが、現在原因調査中でありまして」
「言い訳するんだぁ」
「いっ、いえその決してそういう訳では」
完全に慌てふためいている。自らが何を喋っているのかさえよく分かっていないように見える。
「他に何か言いたいことある?」
「もう一度!もう一度だけ機会を下さい!!必ずや次こそは」
貿易島島主は右手をそっと上げ、部下に合図を送った。
二人の部下は即座に動き、諏訪中少将の腕を両脇からがっしりと掴み、
連れて行こうとした。
「お願いします!将軍!!どうか!!どうかもう一度だけ!!嫌だっ、嫌だぁああああああああああ!!!」
木霊を残して、諏訪中少将は扉の奥へと消えた。他に居並ぶ者は、それを何もせず、見ているしかなかった。
やがて貿易島島主は、彼らに理解を求めるように、だが決して異論は認めないような冷たい響きを持って、言った。
「僕はねぇ、使えないクズや要らないゴミは、取っておいてもしょうがないと思うんだ。さっさと捨てるべきだと思わないかい?」



現在、この戦争は継続中でありんす。
以下続報を待たれよ。


関連項目


貴殿は本日1人目の訪問者である。
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今までで856人の方が訪れていることに感謝。

  • 面白…こんな戦史も良い物ですね -- 海音? 2011-10-21 (金) 16:56:44
  • ありがとうございます!そう言って頂けると頑張って書いている甲斐があります。 -- える? 2011-10-22 (土) 08:18:30
  • 面白い。他の戦史は形式化しすぎていて硬い感じがあったので読まなかったけど・・・これは面白い! -- 2011-10-22 (土) 11:28:48
  • 私の扱いがなんか醜いけど事実だし詳しいし面白いw -- ryo? 2011-10-23 (日) 00:19:46
  • SG介入から先の話は書くんですか? -- 2011-10-23 (日) 00:52:58