東亀湖の手

ocean rookの固定砲台の内、怪獣退治用の砲台が2つある。
ここにはカメレオン対獣艇が設置され上陸した怪獣に備えていたため西カメ湖、東カメ湖と呼ばれるようになった。
そのカメの部分がいつの間にか変化し亀湖と呼ばれるようになったのである。
その亀湖の中で曰く付きの場所は東亀湖である。
バルト海沖戦争にてocean rookが戦場と化した時、真っ先に本土東側が壊滅した。
その時固定カメ砲も轟沈したため東亀湖は簡易的にシュミットやスカイの対艦砲に変更された。
しかし敵国の侵攻を阻止するにはあまりに非力であり、
設置した対艦砲は敵高レベル艦の前に幾度も破壊され、戦争終結時には戦闘機の墓場となっていた。
町の復興も終わり東亀湖の砲台残骸回収作業が始まった頃事件が起こる。
東亀湖に船を浮かべそこから1人のダイバーが湖底へと潜っていった。
湖底の状態を探りに行ったダイバーが帰ってこないのである。
酸素ボンベの限界時間が近づき流石に不安になった同僚のダイバーが仲間の様子を見るため後を追った。
しかしそのダイバーまでもが戻ってこない。
何かあったのではと更にもう2人のダイバーが潜水していった。
水質は良好、しかし意外と深い。気づけば殆ど光も届かない夜のような世界が広がっていた。
すると次の瞬間共に潜った仲間のダイバーが突然パニックを起こしたように暴れだした。
しかし暗くてよく見えない。静寂に包まれた闇の中で突如狂ったように暴れる仲間のシルエットが一つ
いや、よく目を凝らすとそれだけではない。その周りに小さな影がいくつも見える。
明らかに何かが彼を襲っていた。慌てて同僚にライトを当て、驚愕した。
無数の千切れた手が今にも彼を湖底に引きずり込もうとしていたのである。
彼はなすすべも無く深い闇の中に引きずり込まれていった。
生き残ったダイバーは急いで海面へ向けて逃げはじめた。
しかし後から先ほどのものであろう無数の手が追いかけてきた。
何度か足を掴まれかけたが何とか振り切り船に這い上がることに成功、
戻ったダイバーに船員が話しかけるが、ダイバーは混乱していて話にならない。
辛うじて聞き分けられたのは手が追いかけてきたことであった。
船員達は本気にせず捜索に戻るよう促すが怯えて動こうとしない。
その時コンコンと船底を軽く叩くような音がした。
皆ダイバーが帰ってきたのだろうと思ったがそうではなかった。
次第に音の数が増え始め、叩く音も徐々に強くなり殴りつけるような音に変わった。
船員は驚き船のエンジンをかけ陸に向けて走らせた。
少なくはなったが船の下では今だ音がする。船の通った後には手がスクリューに巻き込まれたためであろう血の帯が描かれた。
船が陸につき乗組員が船を下りると船底を叩く音は嘘のように止まり、血の帯も消えたという
ocean rook