小さな勇気

このページはサピン共和国・歴史番外編・小さな勇気のページです。

サピン共和国の王様monoは政界に発言権がなく、国の象徴として国民から拝まれるような存在になっています。
Nicanor暗殺未遂の事件で混乱に乗じて政府直轄の諜報機関SIS(secret intelligence service)の手によってて拉致された。
国王であるmonoはサピンで一番田舎であるA Lil(エーリル)に軟禁(監禁)されていた。
この田舎は、交通機関が存在せず、1ヶ月に一度・・・郵便職員が配送に来るだけと言う酷い地域の屋敷に軟禁されていた。
勿論、屋敷から脱獄するのは王のmonoでも容易い程の警備体制で朝・昼・晩の三回に食事と健康状態を見に来るエージェントだけだった。
しかし、脱獄すると後が怖い・・・見つかり次第、数少ないが村民と会っていないか?と拷問され、自白強要剤などを使い調べあげるのである。
万が一、村民に接触したとでも言ったら次の日にはその村民はこの世から存在が消えてしまっているだろう。王であるmonoは国民が不幸になることだけは望んでいなかった。そのため、脱獄が出来なかったのである。
ある日、6歳前後の子供がボールを取りに屋敷の庭に来たのである。
王様は庭で読書をしており、足元にボールが転がって来たのである。
Jan(子供)「おじさん?何してるの??」
mono(王)「ん?お庭で本を読んでいるんだよ」
Jan(子供)「ふぅーん。。おじさんって偉い人なの??そんな綺麗な服着た人見たこと無いよ?」
mono(王)「そうだね。おじさんは偉い人なんだよ♪ 君は王様って知ってるかい??」
Jan(子供)「うん!!知ってるよ♪お城に居て、一番偉い人でしょ?」
mono(王)「そうだよ♪おじさんは・・・その王様なんだよ??」
Jan(子供)「ホント!!王様、僕・・・お菓子がいっぱい欲しいんだけど・・・」
mono(王)「お菓子が欲しいのか♪よしよし♪君に美味しいお菓子を沢山あげよう☆」
monoはその子供のみすぼらしさを見て可哀想になり、お菓子を沢山与えました。
その子は家に帰ってお母さんにこう言いました。
「王様がいっぱいお菓子をくれたよ☆」
お母さんは何のことだか判らないようです。その頃は王様が拉致されたなんて・・・誰も知らないのですから・・・
数日後、軍部が公式発表した際に王の軟禁を全国民が知ることとなる。
子供はお母さんに「王様を助けてくるね♪」と言い残し王様の居る屋敷へとボールを持って行くのでした。
屋敷の周囲は誰も居なく、改めて見ると王様が居るとは思えない場所です。
子供は庭で本を読んでる王様にこう告げます。
Jan(子供)「王様の声を録音させてください。そうすれば王様はここから脱出できるかも」
突然のことに王様も驚きを隠せないようです。
子供にそんな危険なことをさせていいのか?・死んだらどう責任をとる?
王様は2枚の手紙を渡しました。
一枚は軍関係者に宛てた物・もう一枚は彼に宛てた物でした。
王様は子供にこう告げます。
「兵隊さんにこの手紙を届けたら、君はもう一枚の手紙をあけるといい。これは君に宛てたものだ。」
そう、告げると王様は屋敷に戻って行きました。
子供は、追いかけようか迷ったようですが・・・やはり、王様の為に手紙を運ぶことにしました。
隣町の軍兵舎まで子供の足で2日もかかるので、子供は何度も挫けそうになりました。
子供ならではと言って良いのでしょうか?子供は食べ物を持たずに出発したため空腹とも戦わなくてはならなく、子供の彼には相当過酷なお使いであった。
隣町に着いた頃は・・・ただえさえ、みすぼらしい彼がボロボロになって隣町の憲兵に保護されました。
意識が戻ると、そこは兵舎であった。
兵士さんは皆優しく、彼らが戦争をしてる人間だとは子供の彼には想像できなかったのだろう。
そして、彼らに王様から預かった手紙を渡した。
彼らは血相を変えるかと子供は考えていたが・・・そうでは無かった・・・
戸惑う者・泣く者・微笑んだまま動かない者と様々であった。
兵隊さんは最後にありがとう。と言って自室へ帰って行った。
その後、兵隊さんの王様救出作戦に途中まで同行して途中で降ろして貰うのだった。
家に帰って、ふと思う。手紙を開けなくちゃ!!
彼は、小さな手で一生懸命封筒のテープの部分を剥がします。
中から出てきたのは手紙でした。


         親愛なる少年へ
君の今回の行動はホントに感謝し君が私に自由を与えてくれた。

暗い屋敷に閉じ込められて、人との会話もないような場所で絶望を感じて

いた。もしも、君がボールを庭に投げ込んでいなければ助からなかったか

もしれない。そして、君の勇気のある行動に感謝しmonoよりささやかな

褒美を差し上げようと思う。最後にありがとう。

monoより。

サピン共和国